背景
HHKB Professional BT を2018年に購入して使っていた。
2021年に HHKB Professional HYBRID Type-S を買った。
HYBRID Type-S は打鍵感がすこぶる良く、HHKB BT を全く使わなくなってしまった。2023年頃に自宅やオフィス以外で仕事をすることが増え、出先用のキーボードが必要になり、BT に静音リングをつけて運用を試みた。しかし、先人のブログで紹介されていたシリコンのOリングは厚みが実測で1.3mmほどあり、確かに静音化はされるがストロークがかなり短くなり入力体験が大幅にスポイルされてしまうため、結局 HYBRID Type-S 1台を自宅でも出先でも使うことになってしまった。
最近また出先で頻繁にキーボードを使うので、BT にもう一度チャンスをあげよう。
Oリングを交換
今回の条件は、ストローク感が標準から大幅に変わらないこと。そのためにはOリングの厚みがもっと薄くなければならない。
今回の候補は三つ。
VMQ-50(SI50) M-050
Oリング VMQ-50 (SI50) M-050 <線径φ0.5mm × 内径φ5.0mm> - Oリング.com(オーリング ドットコム)
線径0.5mmで厚みがかなり抑えられる。素材はシリコンゴムの VMQ で、送料と合わせて100個4,520円。少し高い。
NBR-70-1(1A) M-050
Oリング NBR-70-1 (1A) M-050 <線径φ0.5mm × 内径φ5.0mm> - Oリング.com(オーリング ドットコム)
こちらも線径0.5mm。素材は石油系の合成ゴムで、送料を入れると100個3,200円。耐候性には劣るとの記述あり。
東プレ容量性DECキーボードスイッチ用ポロンサイレンスOリング105個パック
Amazon.co.jp: 東プレ容量性DECキーボードスイッチ用ポロンサイレンスOリング105個パック、東プレHHKB対応(0.5mm)
ポロンという素材で、105個1,580円。安い。ポロンの0.5mm厚というのは、HHKB が Type-S の静音化のために採用しているため、同じ構成になる。実際には Type-S は緩衝材の厚み分のストロークの調整がされており、BT にこれを追加しただけで Type-S になるわけではないのだけれど、分厚いシリコンのOリングを入れたままにするよりはだいぶマシだろうということで、これを注文した。
※リンク先を読めばわかるが、実際には Type-S は製造の都合上0.5mm分のストローク調整は諦めて、0.3mm削るにとどまっており、HYBRID と HYBRID Type-S では0.2mmストロークが異なる。
こちらが元々使っていたシリコンのOリング。静音性は抜群だが、厚すぎた。

そしてこちらがポロンのリング。

シリコンと比べるとかなり薄いが、緩衝材としては申し分ない。
Type-C 化
HHKB BT にも USB ケーブルを挿すことはできる。しかし、USB で通信はできない。こいつはただの給電用のポートで、通信は Bluetooth のみが担っている。BT の名に偽りなし。電池が切れた時には便利なポートなのだが、このポートが Micro-B なのだ。使ってやろうと思って BT を引っ張り出してきたらこの Micro-B が顔を覗かせていた。
HHKB を無線で運用したい場合、私はエネループを2セット用意して卓上で充電できるようにして、電池切れのたびに入れ替えているので、省エネモードにせずに使っている。(最近は割とケーブル挿しっぱなしだが。)
出先まで予備のエネループとその充電器を持って歩くのは面倒なので、やはり Type-C ケーブルで給電できるようにしておきたい。変換アダプターを使えば良いというのはヤボというものである。
そこでアリエクスプレスで MC002 という Micro-B を Type-C に換装するためのパーツを買った。

Micro-B と同じピッチでパッドが配置されており、プルダウン抵抗も実装されているため Type-C から給電を受けられるシンプルなパーツだ。
まず、HHKB に使われている鉛フリーはんだに、手持ちの鉛入りはんだを溶かして融点を下げ、はんだ吸い取り線で頑張って Micro-B の端子を外した。Micro-B の固定脚は基板のスルーホールにはんだ付けされているため、本来はヒートガンがあった方がいい。
あとはこの MC002 の両端をはんだ付けする。前述のとおり通信はしていないので両端だけ繋げばいい。左端のパッドのすぐ近くには GND につながるスルーホールがあるのでそこがブリッジしないように注意。うまいことついたらコネクタ自体もはんだで固定して Type-C 化は完了。HHKB を閉じるとき、強度を出すための樹脂板と Type-C コネクタが干渉してしまい、樹脂板をニッパーで少し切り欠く必要があった。

換装後はこんな感じ。基板位置をずらさないで換装すると Type-C はやや飛び出てしまう。しかしながら、BT は HYBRID と違ってポート周辺に凹部がありそこにゴム製の蓋が被せられるようになっているので、その凹部のさらに外に飛び出ることはない。
端子が筐体側面より外側に出ることはないのだが、凹部の中では端子が飛び出ているので、感覚でケーブルを挿しにくい。そこで、この凹部ピッタリの部品を 3D プリンターで作りツライチにしてしまうことで、だいぶ挿しやすくなった。

なお、HYBRID Type-S のポートは以下の写真のようにポート自体が窪んでいて、とても挿しやすい。これを目指すなら BT の USB 基板をセットバックする必要があるが、基板固定のネジ穴の兼ね合いなどから難しそう。

キートップ交換
HYBRID Type-S では無刻印のキートップを使っているが、BT を買った頃は刻印入りを使っていた。この際これも交換しようかと思っていたときに、URSA のキートップの存在を知り、交換した。HHKB キットというのもあるのだが、こちらは無刻印がなく、素材も ABS になる。フルセットを選べば PBT なので、フルセットの Blanks キット(無刻印)を買った。フルセットは矢印キーとかテンキーも付いてくるのでめっちゃ余る。$60。何かのキャンペーン中で送料無料だった。


HHKB 標準よりもやや背丈があり、表面のお椀形状が深い。これは好みが分かれるかもしれないが、個人的には打ちにくいということもないし、めちゃくちゃ打ちやすいということもない。手前側一列目のキー形状が柔らかくてかなりいい。それ以外のキーは結構エッジが鋭い。
HHKB の筐体はやや青を感じるグレーだが、このキートップは普通に黒いので完全に同色ではない。しかしながら、つけてみると全く違和感はなく、馴染んでいる。(純正の墨のキートップも筐体とは同色ではない)
もう少しコロンとしたキーだとよかったが、総評としては気に入っている。
空間を埋める
HHKB は基板の周辺が空間になっている。そこで筐体内側に制振できる素材を敷き詰めることで、筐体内での音や振動の反響を抑えることにした。
マテック グリップゴム ブラック 300×300×2mm #49-13 | Amazon.co.jp
ホームセンターで見かけたこのマットを切って中に入れた。素材はクロロプレン、いわゆるネオプレン。ウェットスーツとかでお馴染みの素材。

効果はテキメンでキーが底についた時の反響が抑えられ、コトコト感も増し、かなりよくなった。
ルブ
シリコンOリングをやめてポロンにしたらキーが軽くなってしまい、キーが指に触れた時のカチャカチャ感が気になるようになってしまった。そこで GPL 205 G0 というグリスを塗った。
メカニカルキーボードスイッチ用潤滑剤(GPL 205 G0) | Amazon.co.jp

Oリングの作業と同時にやれば楽だったが、仕方がないのでもう一度バラして全てのスライダーに塗布。塗りすぎると打鍵感が変わってしまうのではと恐る恐るだったが、結果としてはたっぷり目に塗るのがいいと感じた。これで、カチャカチャ音はほとんどなくなり、かなり静かになった。
ここまでやって、買ったままの HYBRID Type-S より打鍵感がいいかもしれないと思うようになった。
実質 HHKB Professional BT Type-S
HYBRID シリーズの登場で発売から3年8か月という短命で廃盤となった HHKB Professional BT。BT には Type-S は存在しなかった。静音化と Type-C 化により、私の BT は「HHKB Professional BT Type-S」となった。
これから頑張ってもらえそう。
※ この記事の Amazon へのリンクにはアフィリエイトリンクが含まれます。